相対性理論







あなたと私は、相対している。
あなたは、メシアに忠義を尽くす忠実な使徒で、私は、メシアを裏切った裏切り者で。
いつも二人は相対している。
私は、家事をするのが得意であなたは苦手。そして、あなたは古文書の解読、魔術が得意で私はできない。

「っは・・うあ!」
身体を劈くような痛みを伴って訪れるのは、甘い甘い罪の快感。
青い月明かりの下で私たちは、愛し合う。あなたの銀にも似た長い髪が月明かりを浴びて淡くひかる。
互いに憎みあっているはずなのに・・・。
私は、メシアに使えていたあなたが憎くて、
あなたは、メシアを殺した私が憎いはずなのに・・。

「力を抜け・・。佐藤・・」
「っっ――」
あなたの髪が私に触れる。私たちは互いに求め合う。
互いに傷を癒すように、互いに心の隙間を埋めるように・・・。
「蛙・・男さん?」
「なんだ?」
「・・・私は、あなたが嫌いです」
なのに何故私はあなたを求めてしまう?
「知っている。私も嫌いだ。お前が」
だったら何故。あなたも私を求めている?
「でも・・・あなたの髪は嫌いじゃない」
この淡い儚い・・切ない気持ちをあなたの髪の所為にしては駄目ですか?

私たちは、相対している。相対しているから、別れることができない。
私たちは・・相対している。憎んでいても互いに求めずに入られない。
私たちは、相対している。相対性理論のように結びついて離れはしない。

私たちは・・・・・・・・・・・・。知らない間に・・愛し合ってしまっている・・・。



Fin….






新飼育係・あまねさんの観察記録です。
大人の会話してますね!こういう、素直じゃない関係も大好物ですよ!
ありがとうございました!(文責:川田)

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