ブレス・オブ・正義の味方

妄想ここに極まれリなお部屋へようこそ。
もう謝罪してもしきれないような妄想絵日記を描いてしまい、更にそれをまとめてしまった私の勇気と情熱を、どうかウィニングバードキックで蹴り飛ばして下さいまし。

この妄想連載は絶賛発売中のRPG『ブレス オブ ファイア5 ドラゴンクォーター』と、
史都玲沙さまのボーイズラブ小説『正義の味方』の二つを無理矢理くっつけてお話にしてしまったものです。お心の広い方のみ、お読み下さいまし。
許可を下さった史都さま、ありがとうございます!
カプコム様には心の隅で土下座します。

砂城西署勤務、白鳥香澄警部補は非常に困っていた。 不法サルベージの調査中にまたしてもディープの地殻変動に遭い、またしてもパートナーと離れ離れになってしまったのである。
「畜生、ここはどこだ?なんか通路みたいになってるから、以前人がいたのか?薄暗いけど、電灯みたいのもあるし・・・」
説明台詞な白鳥である。
「こんなことになるなら、出掛けにコウと一発・・・」
良からぬ考えが頭をよぎった瞬間、白鳥の耳に、あまり聞きなれない金属音が響いてきた。
「ジャンク?!」

私だけが楽しい絵日記です。因みに香澄くんが持っているのはベレッタです。そうは見えませんが心眼でならベレッタに見える筈です。片手持ちもしません。でもこの日記、妄想ですから(死)。

金属音のする方に、愛用銃ベレッタM92Fを構え、慎重に近づく。
「死んでいいよ」
少年の声がした。 「まさか、こんな所で少年犯罪?!止めなくちゃ!あの高圧的な物言いからするとリンチか?!」
警察官の血が騒ぐ。駆け寄った白鳥が見たものは・・・。

大人の背丈以上はあるジャンクの腹に、軽々とした身のこなしでフェンシングの剣を突き刺す金髪オカッパの少年の姿だった。
「・・・はい?」
一瞬、目が点になる白鳥。その服はコスプレか!?
どう見ても、現代日本の少年が着るような服ではない。オタクな友人に連れて行かれたコミケにいそうな、妙な服装だった。しかも金髪オカッパ。だが台詞は日本語だ。
頭がぐるぐるし始めた時、能天気な別の声が響いた。
「ボッシュすごい!一撃じゃないか!トラップも使わずに!」
・・・君ら、一体なに?

はしゃいでいた少年は、白鳥の存在に気付くと、急に押し黙った。そして、かすかに身構えるのを白鳥は見逃さなかった。
少年の手に握られていたのは・・・中世の騎士が持つようなオーソドックスな「剣」であった。
白鳥は自分も銃を構えるべきなのか逡巡し・・・
「ばか、よく見ろよ。こいつにんげんだよ。ディクじゃない」
フェンシングソードに付着したジャンクの血を掃い、金髪オカッパが呆れて少年の剣を抑えた。
「・・・ああ、そうか」
そうかじゃない!どっから見ても人間だろう!と白鳥は心の中で突っ込みを入れる。
「で、あんたは誰だ?ここは民間人の立ち入りは禁止だぜ。試作ディクの不法投棄が目的なら、あんたを上に突き出さなきゃならない」
金髪オカッパは楽しげに笑う。この生意気さ加減、社長の親戚を思い出す。
白鳥はムッとして言い返す。
「オレは民間人じゃない。警察官だ。不法サルベージの調査をしてるの!君たちこそなんだ!未成年がこんなところで何してるんだ?!」
「何って・・・なあ?」
面白そうに、隣にいる黒髪の少年(何故かポニーテールだ。剣はもう納めている)に話しかけた。
「俺たちも、仕事中です。不法投棄されたディクの、始末」

「もしかして、迷っているんですか?」
黒髪の少年が訊ねる。
「あ、うん。まあ・・・そういうことになるかな」
年下に問われて、仮にも警察官である白鳥はちょっと情けない気分になった。交番勤務の時は、自分が問う側で、教える立場だったのだ。
「この辺、地図がねえんだよな」金髪オカッパが言う。「廃物遺棄抗なんて、ろくなもんじゃねえよ」
そういう名前のサルベージ跡に流れちまったのか。しかも地図がないときたもんだ。白鳥はがっくりくる。
「あのさ、君たち。地上への出口、知らない?オレ、アンダーの、しかもディープははっきり言ってよくわからないんだ」
恥を忍んで白鳥は少年たちに問うた。彼らの方が、何だか訳知りに見えたのだが。
「は?地上?なにその神話。あんた地上なんてあると思ってんの?」
金髪オカッパは年上に対する礼儀を知らないらしい。
「いや、だから地上と言っても砂城のことだけど。まあ、その上にスカイがあるから・・・」
「スカイ?」今度は黒髪の少年が眉を寄せる。
「聞いた事がある・・・ええと、”そら”を意味する言葉だよね?ボッシュ」
・・・・・・・・・・・白鳥の不安は増すばかりだ。
ここは何処だ?俺は誰だ?白鳥だ!
・・・はぐれたコウは大丈夫だろうか。

さくっと背景忘れています。

白鳥に多少の邪念付きで名前を呼ばれていた砂城西署巡査部長黒羽高は、ぶっちゃけた話、逃げ出したい気分だった。
ディープの変動で白鳥と離れ離れになったのはこれで二回目だが、あの時は護らねばならない人物がいた。
ジャンクの巣くう(ジャンクは生命体ではないが)このディープという場所において、護るべき人物がいる、というのは黒羽自身の大きな支えである。
護り、ここから抜け出す。それだけを考えれば、無駄に動揺することも絶望することもない。目的さえあれば、黒羽は実に優秀に自分が動けることを無意識下で知っているのだ。
「ちょっと、そろそろ行くよ」
背後からぞんざいに声をかけられる。
白鳥が妙な二人組みに遭遇していたように、黒羽もまた、妙な二人組みに遭遇していた。
その二人組みは、黒羽の苦手とするタイプだったのである。

黒羽さんは、こんな大汗かきません。妄想ってヤですね。

黒羽が遭遇した二人は・・・女性(巨乳)と女の子(下着同然のスケスケワンピース着用)。
さっきから幾度もジャンクと出くわし、その度それを撃破しているのだが。
黒羽が所持している銃はソウドオフ・ショットガンとリボルバー二挺。弾丸にも限りがあるから、慎重に、一番壊れやすいであろう箇所を狙ってジャンクを破壊している。
ところが巨乳女の方も銃を三挺所持しており、それはどれも見たことの無い形をしていた。その上、弾数など気にしていないように打ちまくる(しかも「ほらほら」だの「邪魔だよ!」だの「こいつはおまけさ」などと叫びながら撃つ。この心理、黒羽には理解できない)。
一方、女の子の方も妙であった。奇妙に曲がった杖を持ち、「にゃー」だの「んん、ふーっ」だのと言いながら杖から出る(ように見える)火炎放射でジャンクを倒すのだ。
ここにいるのは「護るべき者」ではなく、「共に戦えてしまう者」であった。
黒羽のアイデンティティが、ちょっと揺らいでいた。

何気にリン姉、初描きです。ブレスファン失格。
わたなべ「>マイツボ「にゃー」「ふふーん」(爆笑)」

射撃の腕は正確ではないが、確実にジャンクを仕留めている女性の銃に、目をやる。・・・やはり見たことの無い銃だ。
「ひとつ訊いてもいいでしょうか」
「あんた、あたしより年上だろう?敬語はよしな」
以前、香澄に同じような事を言われたのを思い出す。
「その銃についてだが。僕はそういう形の銃を見た事が無い。何社製で、できればその性能を知りたいのだが」
「これ、ね」女は三挺のうち、手にしていた銃を黒羽の前に掲げて見せた。
「銃の出所は、あたしは知らない。仲間が手に入れてくるからね。スナイーピルって銃だ。威力はイマイチだけど、飛距離があるのがいい」
・・・やはり聞いた事が無い名だ。それに、出所がわからないだって?
「登録はしていないのか?それなら、銃刀法違反の疑いがある。いくら砂城でも、銃は登録制だ」
「その言い方だと・・・あんた、政府の人間だね」
黒羽は警察官で、地方公務員だ。政府の人間だと訊かれ、あっさり頷くのも気が引けるが、決して間違ってもいない。
「あいにくあたしは政府に楯突いてる。でも今は非常時だし、安全な所に行くまでは手を組もうじゃないの」

「このディープに於いて、安全な場所などと言う物はあり得ない。それに僕は、犯罪者と手を組む気はない」
「どっかで聴いた台詞だねえ・・・」巨乳女が笑う。
「けどね、手を組まなきゃ生きてここから出られないよ。あんたの射撃の腕は認めるけど、こんな深い階層を抜けるのは骨が折れる。わかったらさっさと行くよ」
犯罪者の言葉に従うのは、仮にも警察官のすることではない。黒羽が僅かに迷ったその時、背広を引っ張る小さな手があった。
「んんー。んー・・・」
スケスケワンピの火炎放射少女だ。言葉が喋れないのはすぐに分かったが、人の話を聴き、理解する力はあるようだ。
少女は黒羽に行こう、とせがむ。巨乳女はまだしも、この少女は保護対象に思えた。
ため息を付き、黒羽は思う。
「香澄は、女性と女の子に囲まれえたら、やはり嬉しいのだろうか・・・。僕がこの二人と遭遇したように、香澄もまさか・・・」
黒羽の予想は半分だけ当たっていたが、彼はあまり仕事以外の洞察力も想像力もない。
この火炎放射少女が黒羽の見えないところで「上手くいった」と含み笑いをしていたことも、香澄が巨乳が実はあまり好みでないことも気付いていない。
まして、香澄が遭遇したのが野郎二人だということも・・・。

うちのニーナ、腹黒です。

白鳥がジャンクと呼ぶもの、少年たちがディクと呼ぶもの。それらを倒しながら薄暗い坑道を進む。
不法サルベージの調査だから、ジャンク用の弾丸はけっこう用意して来ていたが、ここらに出るジャンクは普通の弾丸でも壊すことができた。
「しっかしなあ。どうもオレ、理解できない。虫型が多いってきいていたけど、なんで芋虫型までいるかなあ」
「え、知らないの」黒髪の少年が言う。「これは食い物になる。ホントは火であぶるといいんだけどね」
「く、喰う?!」白鳥は思わず吐き気がこみ上げてきた。そりゃあアマゾンやアフリカに行けばそれがれっきとした食料になる事も、日本人だって蜂の子を食べることは知っている。しかし、ここに出る芋虫型ジャンクはかなり巨大だ。多分、猫くらいの大きさはある。
「悪いけどオレはパスだなあ・・・。うう、なんか別の味を口に放り込みたい」思わず芋虫の味を想像した。
「と言ってもコウはいねえしなあ(そんな事を考えている状況じゃないです警部補)。そうだ、チョコがあったっけ」
白鳥は背広の胸ポケットを探る。甘い物好きの黒羽の為に、いつもちんまい甘味物を所持している白鳥だ。
「君らも食う?」スティックタイプのチョコを少年たちに差し出す。二人は、あからさまに不審そうな顔をした。
「・・・なんだよ、コレ」金髪オカッパは、それでも手にする。そして、銀色の包みをしげしげと眺めているその横で、大人しそうな黒髪少年が、ぱくっと口に放り込んだ。
「ばっ・・・!馬鹿、いきなり口に入れんなこのクソローディ!毒だったらどうする!」
「毒なわけねえだろ!」
金髪オカッパと白鳥の怒鳴りあいの脇で、むしゃむしゃとチョコと頬張った黒髪少年が、かすかに笑う。
「美味しかったです。ボッシュも食べなよ」
「う・・・」
「そうだ!せっかく優しいお兄さんがあげたんだ!素直に喰え!」
ようやく、金髪オカッパはチョコを口にした。
「うまい・・・」なんだかひどく感動しているようだ。
自分の常識の範疇に彼らが属していないのは薄々わかっていたが、なんだか白鳥は脱力してしまった。
「進駐軍になった気分だ・・・・って俺はGHQかっ!」

資料がなかったので白鳥さんはマグナム持ってます。

何体目か数えるにも飽きたほど、白鳥と少年二人はジャンクを壊しまくっていた。
「いくらディープだからってさ、多すぎるぜ・・・」
ぼそりと愚痴った白鳥に、金髪オカッパが「こんなもんだぜ」とはき捨てるように言った。この数で、こんなもんなのか。いつになったら元の所に、コウのもとに戻れるのだろう。
どう見ても巨大アリにしか見えないジャンクを拳銃で打ち抜くと、白鳥は盛大なため息をついた。
「蟻型のジャンクまでいんのかよ・・・。芋虫に蟻、ナメクジ型がいないだけマシだけど、ほんとにジャンクって色々だな」
その声に、黒髪少年が敏感に反応した。
「ジャンク?!このディク、ジャンク持ってるの?!」
「はあ?だからソレ自体がジャンクで・・・」
「ボッシュ!、このディク、ジャンク持ってるって!」
「ジャンクゥ?そんなはした金。」
金髪オカッパは面倒臭そうに言う。だが、黒髪少年はジャンクジャンクと呟きながらジャンクの屍骸をいじりまくる。・・・会話がすれ違っている気がしないでもない白鳥である。
「あったああああああ!!25ゼニー!」黒髪少年はコインのような形をしたものを握り締めた手を高々と上げた。
「25ゼニー?」
「あんた、知らねえのかよ。ジャンクは売れば25ゼニーになる。でもそんな金じゃ、きずセットひとつ買えねえよ」金髪オカッパは興味なさそうに呟いた。
「ボッシュは金持ちだけどさ、俺は金ないもん!俺だってちゃんとした武器が欲しいんだ!支給品だけじゃやってけないよ!」
・・・その気持ち、少しだけわかる。お役所仕事は予算との戦いの日々だ。
しかし・・・このばけものはジャンクというのではないのだろうか?ディクというのが正しい呼び名なのか?いや、コウは「ジャンク」と言っていたし、入院中に読んだ資料にもそう書いてあった。
彼らと自分との、強烈な違和感が具体的になってきていた。


ブレスにおけるジャンクと「正義の味方」のジャンクがあまりにも違ってて面白かったので、それだけのためにこの暴走連載始めたのでした。
わたなべ「つまりコレがネタですか・・・(笑)・・・そしてオチはっ?! 」

土蔵入り口 続きでも読んでやるか